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学力低下について
子供たちの学力の低下については、様々な議論がなされていま

すが、一般の方々の中には、そもそも「子供たちの学力は本当に

低下しているのか」という疑問を抱いておられる方も多いのでは

ないかと思います。そこで、まず今回は、子供たちの学力がどれ

ほど低下しているのかを、実例を挙げつつ、ご説明したいと思い

ます。


 私がこの仕事を始めたのは、もう20年近く前になりますが、

当時と比べて、もっとも子供たちの学力の低下が顕著だと思われ

るのが国語です。とくに語彙力の低下と文法力の低下が著しい。

語彙については、当ブログの前の記事に書きましたので、そちら

を参照していただくとして、ここでは、文法力の低下とそれによ

って生じる問題についてお話ししたいと思います。


 文法というと堅苦しく聞こえるかもしれませんが、簡単に言え

ば言葉をルール通りに使うということ、あるいは、言葉をルール

通りに理解するということに過ぎません。たとえば、日本語では

文末に「た」がつけば過去のことを表すというように、日本語を

母国語とする人なら誰でもわかるような、ごく基本的で簡単なこ

とです。


 こんな初歩的な言葉のルールを、今の子供たちの多くは、中学

校に上がる頃になっても(酷い場合には中3でも)ちゃんと理解

していないのです。また、そういう子供たちの多くは「『書く』

という言葉を過去の形にしてみて」と言うと、まず過去という概

念が伝わらない。そこで、「『書く』というのは『普段そうする

』という意味だから、『前にそうした』という意味になるように

して」と言わねばならりません。ところが、そう言うと、「書い

た」とするべきところを『書かない』としてしまうのです。これ

は、過去の概念と否定の概念の区別がついていないということを

意味しています。


 そんな状態ですから、言葉を文にして使うことができるはずが

ありません。当然、ほとんど単語でしか会話(?)ができません

。彼らは、接続詞を使って文と文を繋ぐなんてことができるはず

もありませんし、文章といえる長さのものを読んで理解すること

など到底無理なのです。


 今ではこういう状態の子供が少しも珍しくなくなりました。1

5年前までなら「落ちこぼれ」のレッテルを貼られてしまったよ

うな学力の子供が、現在の平均と言ってよいと思います。今の子

供たちに国語の授業をしていると、正直、外国人に日本語を教え

ているような錯覚すら覚えます。文法に関しては、きちんと理解

させようとすると、15年前までなら1週間かせいぜい2週間で

すんだことが、今では1年を費やしても、まず分かるようにはな

りません。


 いや、外国人ならまだ良いかもしれません。少なくとも思考に

法則があり、論理がある。文法というのは言葉の法則ですから、

それを使って行われる思考に法則があるのは当然のことです。そ

の法則性を通して物事の法則を理解できるからこそ、人間は人間

になったはずです。そして、法則には必ず例外がある。辻褄が合

わないことがあるからこそ、疑問を抱く。そして、さらに理解を

深めようと考える。だからこそ、人間は進歩するものなのです。

この点については、人間である以上、日本人か外国人かというこ

とは関係がありません。ところが今、この国の子供達の多くは、

人間の根本であるはずの、そうした言葉の法則性を、理解してい

ないのです。したがって、当然のことながら、何かに疑問を抱く

ということもありません。


 こういう状態の子供達に勉強をさせようとするとどうなるでし

ょう。本来なら、法則を教え、例外だけさらえば済むことを、あ

りとあらゆる問題を与え、それに慣れさせるしか方法がなくなっ

てしまうのです。たとえば、英語のbe動詞の現在形を教える場合

なら、「主語がIのときだけam、youか複数のものであればare、

あとはすべてisになるが、意味はどれも同じで『~だ』か『ある

・いる』」と言えばすむはずが、原理原則を理解できない子供達

は、I am/You are/This is/That is/It is/He is/She is/We are
/They are/Tom is/Betty is/My father is/Your sister is・・

・といった具合にあらゆるパターンを網羅しなくてはならなくな

るのです。それこそキリがない。しかも、こういうやり方しかで

きない子は、頭の中で知識が法則に従って体系的に整理されない

ため、それはそれは大変な苦労をしてすべてのパターンを練習し

て、やっとこさ覚えたあとに、こっちが「じゃあ『am』ってどう

いう意味だったけ?」と尋ねると、平気で「私」と答えたりする

のです。『I am a student.』という文が『私は学生です』とい

う意味だとはわかっていても、今度は、『I』が『私は』という

意味で、『am』が『です』だということを覚えていられないので

す。


 これを学力の低下と言わずして、一体何を学力低下と言うので

しょう。文科省の調査に「子供の学力は低下していない」と答え

た小学校の校長がかなりいたように思いますが、彼らには果たし

て教育者としての良心があるのでしょうか。