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精神力 その7
新しい学年になって早1ヶ月。そろそろ新しい環境にも慣れて来る頃です。この時期になると、学年ごとに生徒達自身がこの一年で解決していかなければならない問題点が見えて来ます。何の問題もない学年というのはないのですが、今回は特に、今年の中2が抱える問題点について書こうと思います。というのもこの学年、昨年度は、塾内で定期テストの平均点が最も良く、成績も一番安定している学年で、一見何の問題もないように見えるからです。普通の塾なら人数が多いために、問題があるということ自体を見過ごしてしまうところでしょうが、新風館ではそうは行きません。我々はこの学年が今年最も大変だろうと考えています。

 では何が問題なのか。一言で言えば、「同じ過ちを何度でも繰り返す」ということです。その意味では、これまでのところ最も進歩向上がない学年と言っても言い過ぎではありません。たとえば、英語なら、一般動詞とbe動詞を混ぜて使ってはいけない(進行形を除く)ということを未だに間違えるし、三人称単数現在形のsをいつまでもつけ忘れたりする。数学なら、3XとX3(Xの3乗)をいつまで経っても間違える、プラスとマイナスを間違える。こういった非常に基本的かつ根本的なことが、なかなか改善されない学年なのです。しかも、中2になると学習内容が急に難しくなります(学力低下が叫ばれる以前でも中2で70%以上の子供が躓くと言われていました)から、このままだと急激に成績が下がることになっても何の不思議もありません。

 もちろん、理解できないから間違えるというのであれば仕方がないでしょう。そういう場合は、一人一人が理解できるまで説明しています。そのための少人数制ですから。それでもなかなか理解できないという子も中にはいます。そういう子には更に個別に時間を取って対処するようにしています。しかし、今の中2の場合は、すぐに理解できるし、実際理解しているにも関わらず、基本的なこと根本的なことについて何度も同じ過ちを繰り返すのです。間違え方だけを見ると、彼らよりテストの点や成績が悪く、理解力のずっと低い子と何ら違いがありません。まさに宝の持ち腐れ。

 一体どうしてこんなことになるのでしょう。それは、そういうつまらない過ちを犯したときの反応を見れば一目瞭然です。「あぁ、またやってもうた」「ちっ、しくった」そんな科白を吐いて、それで終わり。落ち込む気配一切なし。こちらがいくら叱責したところで、もともと自分を責める気持ちがない人間には何の効果もなし。かくして飽きもせず何度でも同じ過ちを繰り返すことになるわけです。

 もしそこで我々がもっとしつこく厳しく叱責したらどうなるか。残念ながら、今の彼らは「なんでそこまで言われなあかんの」という受け止め方しかできないようです。実際、そういうときは教室全体がどよ~んとした重たい空気に包まれ、何だかこっちが悪いことをしたような雰囲気になってしまいます。我々としては「おいおい、ちょっと待て、俺達だってこんなつまらんこと何度も言いたないって」と言いたいところですが、そう言ったところで、ますます空気が重くなるだけ。これ、大変なジレンマです。

 こういうとき、問題が知能にあるのではなく、メンタリティ(精神・心の在り様)にあるのだということを痛感させられます。同じ過ちを繰り返す自分をいとも簡単に許してしまう。そして、それを指摘されるのを極端に嫌がる。そういう心の在り方が問題なのです。人間心理の常として、誰しも自分の過ちは認めたくないものです。しかし、そこで認めなければ進歩・向上もありません。そういうとき、認めたくないと思う弱い心に流されず、潔く自分の非を認めるというのも、心の強さ、精神力の問題だと思いますし、日本人として非常に大切な美徳だと思うのです。

 中2に限らず、今の子供達はメンタルな部分が非常に弱く、それが学力の向上を妨げているのは明白です。ところが、両者を切り離して考えている人が、大人にも子供にもあまりに多い。そういう人は、塾に行けばすぐに成績が上がるものだと考える傾向があります。メンタリティと学力を切り離して考えると、上手い授業を受けて理解さえすれば、即学力が向上する気がするからです。もちろんそういうこともあります。しかし、それはメンタリティに上記のような問題がない子に限られます。メンタリティに問題がある場合には、たとえ完全に理解していたとしても、学力も成績も上がらないことがある。と言うか、上がらないのが普通なのです。それで、転々と塾を変える子(親)がいるのでしょうが、当然根本的な問題の解決にはなるはずがありません。成績が上がらないのは、教師の授業の上手下手や本人の知能とは何の関係もないのですから。

 では、こういうメンタリティの問題はどうすれば解決するのでしょうか。大切なのはそういうメンタリティではいられない場を作ることです。上記の同じ過ちを繰り返すということについて言えば、そこにいる人間全員が、それは許されないこと、あってはならないことだと考えている、構成員全員がそういう共通認識(コンセンサス)を持っている場です。まず家庭がそういう場であるというのが最も望ましいと思うのですが、家庭というのは同時に疲れた心を癒す場でもありますから、プレッシャーばかりになるとそれはそれで問題です。厳しさと優しさ、本来なら前者は父親が、後者は母親が果たすべき役割なのですが、昨今では様々な事情から両者のバランスが非常に難しくなっています。ですから、以前にも増して、家庭以外にそういう場があるということ、そういう場に身を置くということが、非常に重要だと思います。

 ところが、以前なら家庭の外にもたくさんあったそういう場が、今ではほとんどその役割を果たしていません。メンタル面を鍛える場というのは、同じ過ちを容認しない厳格さを持った人間の集まりでなくてはいけませんが、厳しい部活の先輩や学校の先生、道場の師範、近所の恐いおじさんなど、今ではみな絶滅危惧種です。家庭も部活も学校もメンタリティを改善する場としての役割を果たしていない。子供達のメンタリティが脆弱なのも、そして学力が下がるのも当然の帰結と言えるのでしょう。

 我々が新風館を創設したのは、そうした状況に一石を投じんがためです。上記の例で言えば、塾生全員が、同じ過ちを繰り返すことを恥とする、そういう優れたメンタリティを持つことが理想です。長く在塾している現塾生、高校卒業まで通塾した卒塾生たちはみな肌でこれを理解しています。新風館は自らを鍛える場である。だから、我々は厳格であることを自らに課しています。

 しかし、残念ながら、こうしたメンタリティの重要性を理解してもらえる人ばかりではありません。そこを直せば、成績だってすぐに上がるということが明白であるにも関わらず、メンタリティを改めることを拒んでやめていく生徒・親御さんもおられます。せっかく自分の周りに、優れたメンタリティを持った人間が集まっているのに、そのこと自体が耐えられないと感じる人も少なくありません。中には私達を罵倒していく方もおられます。しかし、それも仕方のないことだと思います。私達は、新風館という場が将来優れた人間になれるかどうかの試金石であると思っていますし、そういう場であること、あり続けることに最大限の努力を払っています。そして、それこそが他塾と一線を画すところだと考えています。

 今の中2は、長年在塾している塾生がいない学年です。同じ過ちを繰り返すことを恥とする共通認識もできていません。その意味で、我々にとっては、これからが本当の勝負であり、彼らにとっては、これから人生の最大の岐路に差し掛かるところなのです。
中2諸君!ともに全力を尽くしましょう!