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この国の閉塞感と若者
 これまで、主に子供達の問題について話して来ましたが、今回は、どうして今の子供達がこんなことになってしまったのかということを社会情勢という観点から掘り下げて考えてみようと思います。と言うのも、今の子供達の状態は現在この国の社会を覆っている閉塞感を反映しているのではないかと私は常々感じているからです。

 中高年に比べ若者の就職率が極端に低い状態が長年続いています。先日の新聞によると、今年の高卒就職希望者の内定率は37%しかないそうです。子供達にとっては、高卒では仕事がないという現実が眼前にあり、かと言って全員が大学へ進学できるわけもなく、また大学を出たところで将来に明るい展望が持てるわけでもない、そういう状態が続いています。今春、大学へ進学したうちの塾生には長年に渡って色々と話を聞きましたが、やはり成長するに従ってそういう社会情勢に大きな不満を抱くようになって来たようです。若者の視点から現在の社会を見ると、どうしても大人が自分達の権益を守るために、若者を恣意的に排除しようとしているという印象を持つようです。彼らに言わせれば、少子化の問題にしたって、今の社会情勢では経済的に子供なんてつくれるわけがないだろということなのです。

 勿論、我々も今の若者自身に問題がないとは思いません。学力の低下、精神力・忍耐力の低下はここまでに論じて来た通りです。しかし、です。「今どきの若者は・・・」という論法は古代ローマ時代からあり、それで若者の声を封殺してしまうのは簡単なのですが、それでは大人の傲慢と言われても仕方がないのではないでしょうか。世界最速のペースで少子高齢化が進んでいるこの国では、ただでさえ、将来に渡って老人の生活を支えるために若者の負担が大きくなるのは避けられない情勢なのですから、もし、彼らの感じているように、若者達が能力を発揮する場や経験を積むための機会自体を大人が奪っているとしたら、彼らに対して「目標を持て」「夢を持て」ということ自体が単なる絵空事になってしまいますし、それを口にする大人達を見て、若者が茶番だと感じても責めることはできないのではないかと思います。

 若者達の政治や社会に対する無関心や無気力、今のことしか考えず、刹那的に快楽を求めるという状態も、このような社会情勢を反映しているものだと考えれば、一概に若者を責めるわけにはいかないでしょう。面と向かって若者を叱ることのできる大人が減ってしまったのも、そうした大人達の若者に対する負い目の表れと考えれば納得がいく気がするのは私だけでしょうか。

 ここで一つ気をつけなければならないのは、「叱る」ということの意味というか中身です。多くの大人が勘違いしているのは、建前を押し付けることすなわち叱ることだと思っているというところです。建前として正しいことなんて、若者どころか子供だって十分承知しています。彼らが怒りを覚えるのは、その建前と本音の使い分けと言うか、問題が起きたときだけ建前でものを言い、普段はその大人自身が建前をちっとも守っていないということ、そこに見る大人の欺瞞、ずるさに対してなのです。この建前と本音の使い分けについては次回詳述するつもりですが、大人がいくら建前上正しいことを言っても、若者子供は聞いているふりをするだけです。彼らはそういうことに非常に敏感で、必ず大人の欺瞞を見抜きます。彼らは自分のことを語る言葉を持っていませんから、自らを決して語りませんが、信用できる大人かそうでないかを鋭い嗅覚でかぎわける力があるのです。

 現在の社会情勢についても同様だと思います。たとえば、若者がどんなに「大人達(今の社会)が自分達の就業機会を奪っている、不公正だ」と言ったところで、大人達は「そんなことはない、機会の平等はきちんと保障されている」と言うでしょう。しかし、その言葉の後には決して口にされることはない(建前上は)という注釈が入る。社会的に機会の平等が保障されているという証拠だっていくらでも用意できるでしょう。しかし勿論それは、建前上はこうなっているという制度や仕組みに過ぎない。若者達はそれを敏感に察知しているからこそ、表立っては不満を口にしない、口にできない、言っても無駄、言う方が損と考え、どんどん悪循環に入ってしまうのです。こうして若者達の間に無力感だけが醸成されていく結果になるのでしょう。現在のこの国では健全な若者が非常に育ち難い環境であることは間違いないでしょう。

 世界最速で少子高齢化の進むこの国は若者が腐ってしまったら未来がないと言っても過言ではないと思うのですが。果たして何人の大人がきちんと若者と向き合う覚悟ができるでしょうか。